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私たちの身の回りには様々な電子機器があり、昨今は特に高周波帯域を使用する無線通信機器などの増加に加え、通信速度の高速化によって、必然的に高い帯域の周波数帯が用いられることが多くなってきました。なお高周波の定義としては、周波数が高いという概念のみが存在しており明確な定義づけはありません。本書では、高周波とは無線通信や放送用搬送波として使うRF(Radio
Frequency)を指すこととします。
なお、この高周波が利用される代表的なアプリケーションとしては下記のとおりであり、私たちの身近にあるモバイル機器から航空宇宙向けの産業用分野まで多岐に渡ります。
利用形態 |
アプリケーション |
周波数帯 |
電波 |
放送 |
ラジオ |
AM:535〜1605KHz、FM:76〜90MHz |
テレビ |
VHF:90〜108MHz、UHF:470〜770MHz |
通信 |
PHS |
1.8/1.9GHz |
携帯電話 |
700/800/900MHz、1.5/1.7/2.1GHz |
業務用無線 |
150/400MHz |
Wi-Fi |
2.4/5GHz |
WiMAX |
2.5GHz |
ETC |
5.8GHz |
ミリ波レーダー |
60/76/77/79 GHz帯 |
位置測定 |
GPS |
1.5GHz |
センサ |
気象観測 |
5GHz帯/9GHz帯 |
人体センサ |
10GHz帯/24GHz帯 |
高周波を使用する機器を設計するにあたっては、設計・技術者の高周波に関する高度なノウハウが必要なことはもちろんのこと、機器・デバイス・部品などの選定も重要となります。高周波回路は高い周波数帯で動作しているため、一般的な回路と比較すると高いレベルでのノイズ対策が重要となってきます。ノイズ対策の方法としては、機器からノイズを放射させない事と、ノイズの影響を受けないこと、の大きく2つに分類されます。もちろん高周波の機器においては、この2つの要素の双方をケアする必要があり、さらに機器の内部や同一基板上においても信号ライン同士が双方の影響を与えないように設計することも重要です。
さらに、高周波回路を取り扱う設計・開発者にとっては、限りあるコストの中でいかにノイズを抑えた機器を開発することができるか、ということが重要なポイントとなります。特に高周波回路で使用するプリント基板においては信号ライン・電源ラインなど様々なラインが高密度に配線されているため、しっかりノイズ対策を考慮した上で設計を行わないとノイズの影響で全く動作しない、といったケースも出てきます。一般的な制御基板やデジタル基板などの場合は
何とか動作させることも可能ですが、RFなどのアナログ基板は配置・配線など様々な点に配慮したシビアな設計が必要になる点が高周波回路を設計・製造する上での特有の難しさであると言えます。
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